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そばきり 長助

6月下旬。梅雨の中休みのこの日はとても暑く国道の情報板には29°と出ていた。午後1時に旧西木村の八津まで行かなければならない。秋田を出るのが少し遅くなり、昼食を取らずに向かった。仕事が終わり昼食を取りに角館の長助に入った時は午後2時をとうに回っていた。

今は亡きわが師、由利本荘市の石碾屋のご主人に教えてもらった店だ。
こだわりのそば店というのは普通、そばの実から始まる。
そばの実は○○産の△×という品種がいいだの、粉は二番粉だけがいいだの、篩は何番がいいだのという具合に。

しかし、ここのご主人はちょっと違う。ある品種の蕎麦を食べて惚れこみ、「この品種で蕎麦を作ろう」と思い立ち、自分の農地に種を播いたのである。
【栽培、収穫、自然乾燥、石臼挽き、打ち、茹で】という種から口に入るまでのすべての段階にご主人が関わっているという信じられない店である。

蕎麦の世界では有名な高橋邦弘さんという方がいる。ご主人曰く「彼が本かなにかで語っていたのですが、『蕎麦は栽培から打ちまでは無理です』と。でも、私に言わせるとそんなことはない。彼は農民じゃないから、農作業をする体じゃないんだと思います。私は違う。もともと百姓なんだから農作業は日常だ。栽培する作物に蕎麦が加わっただけだ」と。
う~ん説得力がある。
そういえば開店した頃は春と秋の農繁期は田んぼに出てるため店は休みだった。最近は「息子が帰ってきたので店を開けられるようになった」のだそうだ。

蕎麦打ちに関してはこうも言っていた。「蕎麦から入っていないので、自己流で覚えたものですから、日々勉強です」

Chosuke

注文した相モリが出てきた。
蕎麦独特の甘味が感じられます。辛汁も甘口でどっぷり蕎麦をつけて食べられます。こいう蕎麦が好きなのです。

閉店近くなり客も僕以外いなかったので、食後にしばしご主人と蕎麦談義。
その中で藪系のそばの話なった。東京のお客様から手紙をもらい『美味しかったです。一度東京の藪蕎麦も食べてみてください』との内容だったそうだ。ご主人はまだ食べたことがないとのこと。
一度食べてみた方がいいのは確かだですが、あのしょっぱい辛汁はご主人の好みに合わないと思います。石碾屋の蕎麦会に集うメンバー(関東出身者もいた)には、藪系が好みだという人は一人もいませんでした。皆さん砂場系の方が好きでしたよ。という話をしたところで時間になり蕎麦談義はお開きになった。

ケン太の好み度
☆☆☆(++)
お店DATA
店名 そばきり 長助
場所 仙北市角館町小人町28-5 武家屋敷『松本家』の近く
TEL 0187-55-1722
定休日 毎週火曜日
備考1 10月~11月中旬頃までは蕎麦の収穫作業のため、麺が無くなり次第閉店
備考2 店主が丹精こめて作ったこだわり米が買えます。

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